図鑑.netブログ- zukan.net -

http://blog.zukan.net/blog/

2017年2月 6日

ヒマラヤの青いケシは、どこに生える?

ico_weather_hare.gif / ico_weather_kumori.gif
 「ヒマラヤの青いケシ」を御存知でしょうか? ケシ科メコノプシス属に属する植物たちです。このグループには、二〇一七年現在で、五十種以上もの種が属するとされます。
 メコノプシス属のどの種にも、正式な日本語名(標準和名)が、付いていません、日本に自生する種が、一種もないからです。呼び名のとおり、ヒマラヤ山脈近くに分布する種が多いです。インド、チベット、ネパール、ブータン、中国南西部などに分布します。
 日本では、一九九〇年に、大阪で開かれた、国際花と緑の博覧会をきっかけに、有名になりました。この博覧会で、「ヒマラヤの青いケシ」が、大きく取り上げられました。
 青いケシと呼ばれても、メコノプシス属のすべての種に、青い花が咲くわけではありません。赤、ピンク、黄色などの花が咲く種もあります。とはいえ、全体的には、青い花が咲く種が多いです。ヒマラヤなどの高山では、青い花が、いっそう美しく見えます。
 一九九〇年の国際花と緑の博覧会では、ブータンの国花として、メコノプシス属の一種が紹介されました。その種にも、日本語名がありません。ラテン語の学名で、Meconopsis horridula【メコノプシス・ホリドゥラ】という種です。
 ところが、ブータンの国花とされるのは、この一種だけではないようです。Meconopsis grandis【メコノプシス・グランディス】という種も、ブータンの国花と紹介されることがあります。どちらの種も、ヒマラヤの高山地帯で、見事な青い花を咲かせます。
 こうなっているのは、メコノプシス属の分類が、いまだに流動的だからでしょう。この属の多くの種は、ヒトが行くのが難しい、高山に自生します。このために、研究が難しいのですね。新種が発見されたり、別の種だとされたものが、同種だとわかったりします。
 二〇一六年には、ブータンで、三種が発見されています。ラテン語の学名で、Meconopsis elongata【メコノプシス・エロンガタ】、Meconopsis gakyidiana【メコノプシス・ガキディアナ】、Meconopsis merakensis【メコノプシス・メラケンシス】という三種です。
 これら三種は、ともに、標高四千メートルほどの山岳地帯で発見されました。青いケシの名にふさわしく、三種ともに、青から紫色の、美しい花を咲かせます。
図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、ヒマラヤの青いケシは載っていません。かわりに、日本に分布するケシ科の植物が、七種ほどが掲載されています。



 過去の記事でも、ケシ科の植物を取り上げています。また、高山に自生する植物を、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ヒナゲシの英語名は、ポピーpoppyか?(2016/5/2)
富士山と白山、植物が多いのは、どっち?(2015/6/12)
薬用にも、観賞用にも、エンゴサク(2015/4/24)
ムラサキケマンの「ケマン」とは?(2014/4/25)
ヤマブキ(山吹)? いえ、違います(2011/4/29)




| コメント (0) | トラックバック (0)

2017年2月 3日

絶滅危機の理由は? ゴマシジミ

ico_weather_hare.gif
 日本に分布するチョウ(蝶)の一種に、ゴマシジミがいます。シジミチョウ科ゴマシジミ属に属します。この種は、とても分布域が広く、日本国外にも分布します。朝鮮半島、中国から、中央アジアを経て、ヨーロッパ中央部に至るまでが、分布域です。
 こんなに分布が広いなら、ちょっとやそっとでは、絶滅しそうにないと感じますね? ところが、現在の日本では、ゴマシジミの数が、非常に減っています。すでに、絶滅した地域もあります。以前から、ゴマシジミの分布には、不思議な点がありました。
 それは、分布域が、不自然に不連続なことです。例えば、北海道から九州にまで分布するのに、四国には、いません。また、東北地方日本海側の秋田県・山形県では、近年まで見られましたが、二〇一七年現在では、絶滅したと考えられています。
 大都市圏ならともかく、四国や東北地方のように、比較的、自然が残る地域で見られないのは、謎でした。二〇一六年に、この謎を解く研究結果が、公表されました。
 謎を解く鍵は、ゴマシジミの幼虫の、特異な食性にありました。
 ゴマシジミの幼虫は、成育する地域により、食べ物が違います。多くの地域では、ワレモコウという植物を食べます。けれども、それは、三齢幼虫までです。その後は、アリ(蟻)の仲間、クシケアリ属の幼虫を食べます。植物食から動物食へ、大転換ですね。
 クシケアリ属のアリも、多くのアリと同じように、土の中に巣を作ります。たくさんの兵隊アリが、巣を守ります。そんな所へ、何の武器もなさそうな幼虫が、どうやって入るのでしょうか? 驚くことに、アリ自身が、ゴマシジミの幼虫を、巣に運び入れます。
 なぜ、クシケアリ属のアリたちは、そんなことをするのでしょうか? ゴマシジミの幼虫は、体から、甘い蜜を分泌します。これが、アリの大好物なのですね。アリたちは、ゴマシジミの幼虫を、敵だと認識できないようです。
 ゴマシジミの幼虫が育つには、ワレモコウと、クシケアリ属のアリと、両方が必要です。クシケアリ属のアリが減った地域では、ゴマシジミも、減ってしまいます。そういう地域が、日本各地にあるために、不自然な分布になったと考えられます。
図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、ゴマシジミは載っていません。かわりに、日本に分布するシジミチョウ科のチョウや、アリの仲間が、十種以上が掲載されています。



 過去の記事でも、チョウやアリの仲間を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
花に来ないチョウがいる?(2015/5/4)
都会派のチョウ? ヤマトシジミ(2014/2/24)
アリの巣に、居候【いそうろう】がいる?(2013/8/5)
アリとアブラムシとシジミチョウとの関係は?(2013/4/8)
肉食性のチョウ(蝶)がいる?(2010/8/9)




| コメント (0) | トラックバック (0)

2017年1月30日

「みくり」は、植物の名前?

ico_weather_hare.gif
 大ヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(略称『逃げ恥』)を御存知ですか? あれは、同名の漫画が原作なのですよね。森山みくりという女性が、主人公です。
 「みくり」とは、かわいい響きの名前ですね。この名前は、ミクリという植物に由来します。日本の水辺に自生する草です。ミクリ科(または、ガマ科)ミクリ属の一種です。
 こんなかわいい名前の植物ならば、かわいい花が咲くのでしょうか? 残念ながら、ミクリの花は、きれいとは言いがたいです。見ようによっては、かわいいかも知れませんが、大きさも小さく、目立つ花ではありません。
 そうなったのには、理由があります。ミクリの花は、風媒花【ふうばいか】だからです。風によって、花粉が運ばれる花です。ですから、ミクリの花は、風が花粉を運びやすい形をしています。花が美しいかどうかなんて、風には、関係ありませんね。
 普通に美しい花を咲かせる植物は、多くが、虫媒花【ちゅうばいか】です。チョウやミツバチなどの昆虫によって、花粉を運んでもらいます。虫媒花は、昆虫の目に止まりやすいように、大きく、華やかな花を咲かせるようになりました。
 虫媒花のうちで、たまたま、ヒトの目にも美しく見えるものが、ヒトに好まれます。バラやチューリップなど、多くの園芸植物が、そうです。
 大きく、美しい花を咲かせるには、それだけ、エネルギーを使います。自然界の生活は厳しいですから、どんな植物も、できるだけエネルギーを節約しようとします。風媒花のように、花粉を運ぶのに美しさが関係なければ、美しさを切り捨てます。
 じつは、日本のミクリは、現在、絶滅危惧植物です。昔は、水辺に普通にある草でした。けれども、ヒトにより、水辺の環境が破壊されたために、数が減ってしまいました。
 ミクリに、もっと美しい花が咲けば、ヒトに惜しまれて、絶滅危惧種にはならなかったでしょうか? 美しさゆえに乱獲されて、やはり、絶滅危惧種になったかも知れません。
 地味でも、植物の価値に変わりはありません。日本の水辺を構成する、大切な植物です。ドラマのヒットをきっかけに、植物のミクリにも、目が向けられて欲しいです。
図鑑↓↓↓↓↓には、
が掲載されています。



 過去の記事でも、日本の水辺の植物を取り上げています。また、『逃げ恥』の主人公みくりの兄「ちがや」の名前のもとになった植物も、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。

図鑑↓↓↓↓↓には、

残念ながら、ウミノミの仲間は、載っていません。かわりに、日本近海などに棲む節足動物が、三十種以上掲載されています。



 過去の記事で、海中を漂って暮らす生き物を取り上げています。また、モスアイ構造についても、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
沢瀉は、オモダカではない?(2015/8/17)
いろいろと役立ちます、ガマ(蒲)(2012/8/24)
シカクイ? フトイ? クサイ? 藺【い】の仲間たち(2011/7/8)
ヒシ(菱)は、女神さまの好物?(2010/8/6)
茅の輪【ちのわ】くぐりの「茅」とは、どんな植物?(2007/6/29)




| コメント (0) | トラックバック (0)

2017年1月27日

海にも、ノミ(蚤)がいる?

ico_weather_kumori.gif
 ノミ(蚤)は、吸血するために、ヒトに憎まれる昆虫ですね。彼らは、ヒト以外に、イヌやネコやネズミなどの哺乳類に付きます。ところが、海の中にも、ウミノミ(海蚤)と呼ばれる生き物がいます。昆虫のノミが、海にも棲むのでしょうか?
 そうではありません。ウミノミは、昆虫のノミとは、まったく違う生き物です。詳しく分類を書けば、節足動物門【せっそくどうぶつもん】軟甲綱【なんこうこう】端脚目【たんきゃくもく】クラゲノミ亜目【あもく】に属するものたちです。
 クラゲノミ亜目という分類名から、ウミノミの仲間は、クラゲノミ類とも呼ばれます。この名のとおり、海の中で、クラゲに付着して生活する種が多いです。クラゲ以外に、サルパ―脊索【せきさく】動物の仲間―など、海中を漂う生物に付く種も、多いです。
 クラゲやサルパに付着して、ウミノミは、昆虫のノミのように、体液を吸うのでしょうか? これについては、わかっていません。ウミノミの仲間は、研究が進んでいないため、生態がわかる種が、少ないのです。何を食べるかさえ、不明な種が多いです。
 クラゲやサルパに付着せず、自由に海中を漂って生活するウミノミもいます。そのような種は、クラゲやサルパに付着する種に比べて、体が透明なことが多いです。
 それには、理由があります。隠れるところのない海中で、敵から逃れるためには、敵から見えにくくなることが有利です。体を透明にすれば、周囲の海水に溶け込んで見えるため、敵に見つかりにくくなります。
 最近の研究で、ウミノミの一部には、より透明に見えるように、特別な構造を持つものがいることが、わかりました。フクロウミノミ科フクロウミノミ属の一種です。
 その種は、脚に、ナノ突起という微小な突起が、びっしりと生えています。この突起は、ヒトの肉眼で見える大きさではありません。ヒトの肉眼で見ると、この突起は、光の反射を弱める働きがあります。つまり、体表の反射を抑えて、より見えにくくしています。
 これは、昆虫のガ(蛾)が持つ「モスアイ構造」と、同じものです。モスアイ構造は、以前、このブログで取り上げましたね(ガ(蛾)は、どうやって暗闇で見る?(2016/6/10))。

図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、ウミノミの仲間は、載っていません。かわりに、日本近海などに棲む節足動物が、三十種以上掲載されています。



 過去の記事で、海中を漂って暮らす生き物を取り上げています。また、モスアイ構造についても、取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
セミの翅【はね】の秘密(2016/7/22)
ガ(蛾)は、どうやって暗闇で見る?(2016/6/10)
海中の透明で長いもの、な~んだ?(2010/4/1)
海中のイルミネーション? ヒカリボヤ(2007/12/10)/font>
サルパとは、どんな生き物?(2007/5/31)




| コメント (0) | トラックバック (0)

2017年1月23日

ヤエヤマアオキは、健康食品になるか?

ico_weather_hare.gif
 ヤエヤマアオキ(八重山青木)という植物の名を、聞いたことがあるでしょうか? 日本の南西諸島や、小笠原諸島に自生する樹木です。南西諸島や小笠原諸島にお住まいの方以外には、馴染みの薄い植物名でしょう。アカネ科ヤエヤマアオキ属の一種です。
 では、ノニという名を聞いたことは? よく果実がジュースにされて、健康食品として売られています。タヒチ、ハワイなど、太平洋諸島の産地のものが多いです。
 じつは、ノニNoniとは、ヤエヤマアオキのハワイ語―英語とは違います―の名前なのです。外国産の健康食品だと思ったら、日本にも生えている植物でした。
 日本の沖縄や小笠原では、ヤエヤマアオキを食用や薬用にした記録は、ないようです。しかし、外国では、ヤエヤマアオキを、食用や薬用にしてきた地域が多いです。
 ヤエヤマアオキは、南アジアから東南アジア、南太平洋にかけて、広く分布しています。インドネシア、インド、タイ、カンボジア、ベトナム、フィリピン、ハワイ、グアム、フィジー、タヒチ、サモアなどの地域です。地域により、呼び名が違います。
 現在は、宣伝のために、ノニというハワイ語の呼び名が、各地に普及しています。とはいえ、現在でも、各地の言語での呼び名があります。ヤエヤマアオキの原産地は、ハワイやタヒチではなく、インドネシアのモルッカ諸島(マルク諸島)だとされています。
 インドやインドネシアでは、ヤエヤマアオキが、古くから薬用にされてきました。この二国では、ヤエヤマアオキの樹皮や根を、布を染める染料にもしました。タヒチ、フィジー、サモアなどの太平洋諸島では、ヤエヤマアオキの果実が、食用にされました。
 けれども、ヤエヤマアオキの薬効については、医学的な証拠はありません。宣伝では、あらゆることに効くように言われますが、それは、鵜呑みにできません。
 このブログで、何回も書いていますとおり、「これさえ食べて(飲んで)いれば、どんな病気にもかからない」万能の健康食品は、存在しません。場合によっては、健康食品やサプリメントのために、体調を崩すことさえ、あります。ことに、持病がある方は、健康食品やサプリを摂取する前に、医師に相談したほうがいいです。
図鑑↓↓↓↓↓には、
ヤエヤマアオキと同じアカネ科の植物が、六種ほどが掲載されています。



 過去の記事でも、健康食品やサプリメントに利用される植物を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ワサビノキは、スーパー健康食品か?(2016/10/31)
アサイーの正体とは?(2016/2/8)
キクイモは、菊の花咲くイモ?(2015/2/13)
ローズヒップは、バラの果実?(2015/2/6)
クコ(枸杞)は、不老長寿の薬になる?(2013/2/15)




| コメント (0) | トラックバック (0)

2017年1月20日

地下に棲むゲンゴロウがいる?

ico_weather_kumori.gif / ico_weather_yuki.gif
 昆虫に詳しくない方でも、ゲンゴロウ(源五郎)という昆虫の名は、おそらく、聞いたことがあるでしょう。有名な水生昆虫の仲間ですね。
 甲虫目【こうちゅうもく】の昆虫のうち、ゲンゴロウ科、コツブゲンゴロウ科、ムカシゲンゴロウ科などに属するものを、ゲンゴロウと総称します。ゲンゴロウ科のナミゲンゴロウという種を、単にゲンゴロウと呼ぶこともあります。
 ゲンゴロウの仲間は、池、渓流、水田などの淡水域に棲みます。昔の日本では、水田が多かったために、ナミゲンゴロウなど、とても平凡な昆虫でした。子供たちの良い遊び相手でした。現在は、絶滅危惧種とされるほど、減ってしまいました。
 世界的に見ても、ゲンゴロウの仲間は、平凡な水生昆虫です。けれども、中には、とても珍しい種もいます。例えば、地下水に棲むゲンゴロウがいます。
 日本に分布するものでは、ムカシゲンゴロウ科に属する数種と、ゲンゴロウ科ケシゲンゴロウ亜科メクラゲンゴロウ属の数種、ゲンゴロウ科ケシゲンゴロウ亜科メクラケシゲンゴロウ属の一種などが、知られています。
 ムカシゲンゴロウ科は、日本にしか、分布が確認されていません。科自体が、世界的に、珍しいです。一生を地下水の中で過ごすグループです。
 メクラゲンゴロウ属や、メクラケシゲンゴロウ属も、日本でしか、分布が確認されていません。地下水の中で暮らすために、眼が退化しています。かわりに、体毛が発達しています。体毛で水の流れを感じて、周囲の様子を知るようです。
 地下水で暮らすゲンゴロウ類は、ほとんど、生態が知られません。観察が難しいためです。彼らの体が小さい―たいていは、2mm以下―ことも、難しさに拍車をかけています。そもそも、地下水の中の昆虫なんて、どうやって発見されたのでしょうか?
 昔、水道が発達する前には、井戸が使われていました。井戸水は、地下水とつながっているため、井戸から発見されたのです。現在の日本では、ほとんど、井戸が使われません。このために、地下水のゲンゴロウ類を発見するのが、さらに難しくなっています。
図鑑↓↓↓↓↓には、
ゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ)が掲載されています。



 過去の記事でも、ゲンゴロウなどの水生昆虫を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ガ(蛾)? いえ、トビケラです(2015/6/1)
温泉に入る昆虫がいる?(2012/6/25)
肉食の背泳選手? マツモムシ(2010/5/31)
泳ぎが苦手な水生昆虫? ガムシ(2009/9/7)
昆虫一のアクララング王者? ゲンゴロウ(2009/3/27)




| コメント (0) | トラックバック (0)

2017年1月16日

ウンシュウミカンの起源が判明?

ico_weather_hare.gif
 日本の冬の果物といえば、ミカン(蜜柑)ですね。普通にミカンと呼ばれるのは、生物学的には、ウンシュウミカン(温州蜜柑)という種です。ウンシュウとは、中国の温州という地名に由来します。ところが、ウンシュウミカンは、中国原産ではありません。
 それなら、なぜ、温州の名が付いたかといえば、温州が、柑橘【かんきつ】類の名産地だったからです。最初は、「名産地温州の蜜柑だよ」という、宣伝目的だったのでしょう。
 ウンシュウミカンは、中国から伝わったミカンをもとに、日本で生まれた種ではないかと考えられていました。二〇一六年に、それを裏付ける研究結果が、公表されました。
 その研究結果によれば、ウンシュウミカンの母親(種子を実らせた親)は、キシュウミカン(紀州蜜柑)です。父親(花粉を授粉させた親)は、クネンボ(九年母)です。
 キシュウミカンもクネンボも、ウンシュウミカンと同じ、ミカン科ミカン属の一種です。どちらも、食用になります。キシュウミカンは、ウンシュウミカンが一般的になる前、江戸時代のミカンの主力でした。江戸時代にミカンと言えば、キシュウミカンを指しました。
 クネンボは、キシュウミカンが普及するより、さらに前に、主に食用にされていた柑橘類です。果実の大きさでは、ウンシュウミカンより大きいくらいです。ただし、味は、キシュウミカンやウンシュウミカンのほうが、ずっと美味しいです。
 キシュウミカンは、中国から伝わりました。果実が小さく、房ごとに種子がありますが、美味しいミカンです。日本の紀州で大量に栽培されたため、この名が付きました。
 クネンボは、東南アジア原産だと考えられています。おそらく戦国時代に、日本に来ました。それまで日本にあった柑橘類に比べて、果実が大きいために、そのまま生食できる柑橘類として、普及しました。味も、当時としては、美味しいほうでした。
 ウンシュウミカンは、クネンボから果実の大きさを、キシュウミカンから美味しさを受け継ぎました。両親の「いいとこ取り」をしたわけです。このために、明治時代の半ば以降、ミカンの主力となりました。日本の主要な生食用柑橘類の座は、クネンボ→キシュウミカン→ウンシュウミカンと、移り変わってきました。
図鑑↓↓↓↓↓には、
残念ながら、ウンシュウミカンは、載っていません。かわりに、日本にある柑橘類(ミカン科ミカン属の植物)が、三種ほどが掲載されています。



 過去の記事でも、柑橘【かんきつ】類(ミカン科で、食用になる植物)を取り上げています。よろしければ、以下の記事も御覧下さい。
ベルガモットは、ミカン科か? シソ科か?(2016/7/11)
ミカンとオレンジとは、違う? 同じ?(2014/2/14)
ミカン? いえ、カラタチです(2009/2/13)
お釈迦さまも食べた? レモン(2006/8/21)
代々の実が付くおめでたい果実、ダイダイ(2005/12/31)




| コメント (0) | トラックバック (0)